01.1 天皇陛下の御発言
2 光仁天皇の即位の謎
02.3 高野新笠(たかののにいがさ)出自の謎
4 英雄・桓武天皇の野心
03.5 母親・高野新笠の血統潤色
04.6 遺伝子の推理
7 武寧王は日本で生まれた!
05. 上記の続き
06. 上記の続き
8 渡部昇一氏の意見
07.9 現在につながる韓国/朝鮮の歴史とは?
10 むすび
付録1:
08.対馬を狙う韓国の野望
09. 上記の続き
付録2:
10.〈八咫烏〉は〈三足烏〉か否かについての文献調査(1)
11.〈八咫烏〉は〈三足烏〉か否かについての文献調査(2)
12.〈八咫烏〉は〈三足烏〉か否かについての文献調査(3)
本文への補遺
13.(1)『神皇正統記』に見る桓武天皇の事績
14.(2)若い人に推薦できる『日本書紀』の現代語訳が見つからない悩み
その他
15.三足烏補遺
桓武天皇の生母問題14
[本文への補遺]の続き
(2)若い人に推薦できる『日本書紀』の現代語訳が見つからない悩み
戦後の古代史家の代表として、井上光貞と直木孝次郎の名があげられる事が多いようです。しかし、戦後の古代史学の左翼化傾向に抵抗し続けてこられた、皇學館大学元学長の田中卓博士は、その著作の中で、井上・直木両氏の論文に、痛烈な批判を加えておられます。
オロモルフには難しい事は分かりませんが、直木氏が戦後数年たってからとつぜん左翼思想になったことは確かなようですし、また井上氏のエッセイには、その直木氏への共鳴が見られるので、田中卓先生の批判は正しいと感じております。
山田宗睦という歴史家兼哲学者が日本書紀を訳しておりますが、この方も、あの有名な古田武彦に共鳴して共著を出したりしており、他の本を読んでも、皇室への敬愛心がまったく見られません。
宇治谷孟という人は、『日本書紀』や『続日本紀』の翻訳を手がけていますが、ほとんど完全に反日韓国学者に洗脳されているように感じます。たとえば、任那は「貴い本当の国」といった意味で、皇室の先祖の地だ――(つまり大和朝廷の先祖は朝鮮から来たと述べていると推理できる)文章を書いていますし、また、高霊(今も韓国にある都市)の「高」と「霊」の間に、天皇が産まれたという意味の「皇産」を入れると、日本神話の重要な神である「高皇産霊尊*」になるので、これは日本人の先祖が朝鮮から来た説と無縁ではない――といった意味のことを記しています。
(*「たかみむすび」という神の名は、この漢字で書かれているとは限りません!)
これらは単なる語呂合わせではないか、ジョークに近い話ではないか、とオロモルフは思いますが、宇治谷さんはまじめに考えているようです。
月刊日本には、もっと凄い話が出ていました。高霊と高天原は「高」という漢字が共通しているから高天原は韓国の高霊にあった――という説を述べている韓国人がいるのだそうです。
(小池栄子は小泉純一郎の隠し子に違いない。「小」という漢字が共通しているのはとても偶然とは思えない。叱られるかもしれませんが、オロモルフにはこのレベルの話のように思えてしまいます)
たとえば日本の古典に1000の話があったとしますと、その中から自分たちにもっとも都合の良い一つだけを取りだして、それをあらゆる手段でこじつけ、拡大して言いまくる――というのは、反日史家の常套手段ですが、じっくり考えないと騙されると思います。千回も言い続けられると、本当に思えてきてしまいますから・・・。
反日韓国人のみならず、以上の日本の著名な史家を含めて共通するのは、【古代日本を矮小化したい】という強い欲求です。
・・・という事があるのですが、ここで、現在(古書を含めて)入手しやすく高校生にも読めそうな『日本書紀』の現代語訳書を挙げてみます。
<1>岩波書店『日本古典文學大系 日本書紀(全二巻)』(読み下し文)
<2>中央公論社『日本書紀(全二巻)』
<3>小学館『新編日本古典文学全集 日本書紀(全三巻)』
<4>ニュートンプレス『原本現代訳シリーズ 日本書紀(全三巻)』
<5>講談社学術文庫『日本書紀(全二巻)』
しかし若者への推薦となると悩んでしまいます。
なぜなら、
<1>は上記した井上光貞、さらには有名な家永三郎が校注者に入っている。
<2>は井上光貞の元訳があっての監訳。
<3>は直木孝次郎が校注・訳者に入っている。
<4>は前記した山田宗睦が一人で翻訳。
<5>はやはり前記した宇治谷孟が一人で翻訳。
――となっており、知らず知らずのうちに洗脳されてしまう恐れがあるからです。
現在オロモルフが主に使用している訳書は、小学館の<3>および、下記の戦前の本です。
<5>畝傍書房『日本書紀通釋(全六巻)』(飯田武郷訳注)
明治時代の七十巻本を昭和に入って六巻に纏めたもので、戦後の復刻も有るはずです。飯田武郷は平田篤胤の弟子です。
<3>は注がもっとも詳しく、使いやすい編集になっているので使っています。
しかしながら、戦後の本は、どれをとっても、用心しながら読む必要があると思います。
インターネットには、若く熱心で左翼的では無い方が天皇陵を研究したサイト、神社を研究したサイト、邪馬台国を研究したサイトなどいろいろありますが、時々「オヤ」と思う記述にぶつかります。どうやらそれは、戦後に書かれた参考書で勉強しておられるためのようです。
オロモルフも気づかぬうちに騙されているかもしれません。
安心して自分も読め、若者にも勧めることのできる『記紀』の本格訳注本がほしいものですが、まだ見つかっておりません。
(長くなりましたが、『桓武天皇の生母問題』をおわります)