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明治前期発明家伝1

■■■■■ 一 特許第一号を得た堀田瑞松――ロシアから感謝状を貰った先覚者―― ■■■■■


◆◆◆ 芸術家として出発した堀田瑞松 ◆◆◆

 日本の特許第一号を得た堀田瑞松については、これまでの日本特許史にほとんど触れられていない。
 そこで、北垣實一郎・安田清『堀田瑞松傳』によって記しておくことにしよう。

◇天保八年(一八三七年)
 堀田瑞松は、天保八年四月十二日(一八三七年五月十六日)に、現兵庫県の豊岡市に生まれた。名を貞、幼名を菊太郎といった。
 刀鞘塗師をしていた家の長男で、少年時代から抜群の技をもっており、十六歳で家業を継いだ。

◇安政五年(一八五八年/二十一歳)
 しかし刀鞘塗だけでは満足できず、安政四年(一八五七年)に父が没したのを機会に、翌安政五年二十一歳のとき、京都に出て、家業とともに彫刻や細工物の腕をみがき、また書道や南画を修得した。
 そして独自の工夫を重ねて、彫刻刀によって絵画を自在に鏤刻する技術を創始し、堀田寸松と名乗った。
 とくに厚漆の板などに一気呵成に絵画を彫刻する「鉄筆」という技は絶妙で、天才の名をほしいままにした。
 もともと家業の刀鞘塗は漆をつかうので、漆のあつかいには少年時代から習熟していたのだ。

◇慶應元年(一八六五年/二十八歳)

 やがてその名声は孝明天皇の知るところとなり、慶應元年(一八六五年)二十八歳のとき、水晶宝珠の台を彫刻するよう命じられた。
 堀田瑞松は命がけでこの大仕事を果たし、そのできばえを愛でた孝明天皇によって、「寸松」を「瑞松」とするようにとのお沙汰を賜った。
 このときから堀田瑞松と名乗るようになり、これ以後、皇室に関係の深い仕事を多くするようになった。
 

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第五章INDEX

01.一 特許第一号を得た堀田瑞松――ロシアから感謝状を貰った先覚者――
       芸術家として出発した堀田瑞松
02.    教科書にある偉人 堀田瑞松
03.    発明家に転身して特許第一号を取得!
04.    軍艦に塗装して外国の海軍にも注目される
05.    ついにアメリカに渡航して企業化を推進
       帰国後の顕彰と活躍
06.    堀田瑞松が遺したもの
07.二 特許第二〜四号を得た高林謙三――お茶の輸出に貢献した明治の偉人――
       明治初期の輸出品は生糸とお茶だった
08.    医者として出発したが製茶機械の発明家に転身
09.    襲いかかる苦難との闘い
10.    心血を注いだ特許三三〇一号の快挙
11.    ついに報いられた高林謙三の執念
12.三 日本人の発明力を世界に知らせた天才・高峰譲吉の多彩な人生
       父親の影響を強く受けた高峰讓吉
13.    わが国初の工学系大学に入るまで
14.      上記の続き
15.    イギリス留学を経て農商務省に入るまで
16.      上記の続き 17.      上記の続き
18.      上記の続き
19.    日本初の人造肥料会社設立に奔走
20.      上記の続き
21.    発明特許活動の開始!
22.      上記の続き
23.    アメリカ定住前の特許一覧
24.    アメリカ定住のきっかけとなった「高峰式元麹法」の解説
25.      上記の続き
26.    偏見につぐ偏見、苦難につぐ苦難
27.      上記の続き
28.    起死回生の大発明『タカヂアスターゼ』
29.      上記の続き 30.続き
31.    世界で初めてホルモンの純粋抽出に成功し、「アドレナリン」と命名する!
32.      上記の続き 33.続き
34.    赫々たる名声、そして凱旋帰国
35.    最近の『高峰讓吉伝』への疑問
36.      上記の続き
37.四 不屈の先覚者たち
       日本特許第一〜三〇号のなかの大衆的発明
38.    日本特許第一〜三〇号のなかの技術的に高度な発明
39.    明治二十年代末までの注目発明(一) 輸出に貢献した製糸と織物
40.    明治二十年代末までの注目発明(二) 製塩と電気の発明
41.    明治二十年代末までの注目発明(三) 日本のお家芸/意外な発明品
42.    世界で最初に乾電池を発明・製造した屋井先藏
43.      上記の続き 44.続き 45.続き
46.    空を飛ぶ夢(一) 世界に先駆けて近代的飛行機の構造を発明した二宮忠八
47.      上記の続き 48.続き 49.続き 50.続き 51.続き
52.    空を飛ぶ夢(二) 日本の飛行船の先駆者 「風船狂」と言われた山田猪三郎
53.      上記の続き  54.      上記の続き
55.      上記の続き
56.      上記の続き
57.    明治日本を救った銃の天才発明家 「軍銃一定」の哲学をもたらした村田經芳(併せて有坂成章/南部麒次郎/宮田榮助のこと)
58.      上記の続き
59.      上記の続き
60.      上記の続き
61.      上記の続き
62.      上記の続き
63.      上記の続き
64.    村田經芳の後継者の一番手・有坂成章
65.    村田經芳の後継者の二番手・南部麒次郎
66.      上記の続き
67.    民間人としてで火器を開発した宮田榮助
68.五 日本の特許を特徴づける女性発明家たちの活躍
       女性発明家の活躍は幕末〜明治から・・・!
69.    特許前史の女性発明家――久留米絣の井上でんと国武絣の牛島ノシ――
70.      上記の続き
71.      上記の続き
72.      上記の続き
73.      上記の続き
74.      上記の続き
75.    牛島ノシの国武絣
76.    特許制度創設当時の女性発明家たち
77.    その他のエピソード


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