トップページ]>[歴史のページ]>[日本の特許史]

INDEX

大正〜昭和初期発明家伝2

[承前]

◇明治二年(一八六九年/二代目誕生)
 二代目になった島津源藏(図6・1)はこの年の六月十七日(新暦の七月二十五日)、初代の次男として誕生した。
 幼名を梅次郎といった。
 当時はよくあったことだが、生まれてすぐに親戚に預けられ、明治八年六歳のときに親元に戻った。
 長男が夭折して跡取りがいなくなったためらしい。

 正規の就学年齢よりすこし遅れて、八歳で小学校に入ったが、家業を手伝うために、二年で退学した。
 しかしひじょうな勉強家だったので、独学で多くのことを学んだ。
 家業は技術の一種なので、親の手伝いそのものも勉強の一環だった。

◇明治八年(一八七五年/六歳)
 この年の三月、初代源藏は、仏具製造だけでは発展性が無いと考え、義務教育が始まったのを好機ととらえ、学校向けの理化教材の製造販売を開始した。
 粗末な小屋での仕事だったが、これが『島津製作所』の発祥とされている。
 小学校をやめた源藏はこの製造を手伝ったのだが、その手伝いの中に、外国品の修理があり、その事から源藏は、理化教材の国産化を夢見るようになった。

 初代の腕の良さは、明治十年の第一回内国勧業博覧会に出品した医療用品が褒賞を受けたことや、明治十四年の第二回に蒸留器を出品して有功二等になったことでも証明されている。
 また驚くのは、すこし後の明治十九年のことだが、理化機器を盛んにするための『理化学的工芸雑誌』という雑誌を創刊していることである。
 粗末な町工場のおやじさんが、こういう雑誌を出したのだ!

 初代の進取性を示すさらなるエピソードに、気球の掲揚がある。
 人にすすめられて気球の開発に取り組んだ初代は、明治十年十二月六日の招魂祭の日に、人を乗せて三十六メートルまで上昇させることに成功した。
 これは大変な人気で、それを見るための観覧券を売りだしたところ、なんと四万八千枚もが売り切れたといわれている。
 小学校をやめたばかりの源藏にも印象的だったであろうこの壮挙は、人を乗せた気球を飛ばせた民間人としては最初であり、役所を含めても、二番目か三番目だったと思われる。

[この項つづく]
 

前ページへ 次ページへ

第八章INDEX

【大正から昭和へ――憤懣と苦難のはじまり――】(この章の別の題)
000.    はじめにー再開に当たって
001.八・一 日米特許戦争の勃発 蓄電池の先駆者・島津源藏の闘い
       『島津製作所』の発祥
002.      上記の続き
003.      上記の続き
004.    独学で蓄電池製造を開始する
005.      上記の続き
006.      上記の続き
007.    クロライド型の成功と日露戦争への大貢献
008.      上記の続き
009.      上記の続き
010.    特許/発展/危機
011.      上記の続き
012.      上記の続き
013.    世界的大発明への道
014.      上記の続き
015.      上記の続き
016.    日米特許戦争の勃発と最終勝利
017.      上記の続き
018.      上記の続き
019.    栄光の十大発明家に選ばれる
020.      上記の続き
021.八・二 電気の時代の先駆者たち
       電気機械の世界的発明家 山本忠興
022.      上記の続き
023.      上記の続き
024.      上記の続き
025.      上記の続き
026.    テレビ野球中継を成功させた川原田政太郎
027.      上記の続き
028.      上記の続き
029.      上記の続き
030.      上記の続き
031.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
032.      上記の続き
033.      上記の続き
034.      上記の続き
035.      上記の続き
036.      上記の続き
037.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
038.      上記の続き
039.      上記の続き
040.      上記の続き
041.      上記の続き
042.      上記の続き
043.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
044.      上記の続き
045.      上記の続き
046.      上記の続き
047.      上記の続き
048.    世界で最初にFAXを実用化した丹羽保次郎
049.      上記の続き
050.      上記の続き
051.      上記の続き
052.      上記の続き
053.      上記の続き
054.      上記の続き
055.      上記の続き
056.    世界の時計を制覇した古賀逸策
057.      上記の続き
058.      上記の続き
059.      上記の続き
060.      上記の続き
061.    電気の時代のその他の先駆者たち
062.      上記の続き
063.      上記の続き
064.      上記の続き
065.八・三 日本のお家芸を築いた磁石の「鉄人」たち
       KS鋼及び新KS鋼の発明者 本多光太郎
066.      上記の続き
067.      上記の続き
068.      上記の続き
069.      上記の続き
070.      上記の続き
071.    本多光太郎が育てた弟子(一)増本量
072.    本多光太郎が育てた弟子(二)山本達治
073.    MK磁石を発明した磁石の神様 三島七
074.      上記の続き
075.      上記の続き
076.      上記の続き
077.      上記の続き
078.      上記の続き
079.      上記の続き
080.      上記の続き
081.    世界を制覇したフェライトの父 武井 武
082.      上記の続き
083.      上記の続き
084.      上記の続き
085.      上記の続き
086.      上記の続き
087.      上記の続き
088.      上記の続き
089.      上記の続き
090.      上記の続き
091.      上記の続き
092.      上記の続き
093.八・四 立志伝中の発明家たち
       独学で蒸気ボイラーを発明した田熊常吉
094.      上記の続き
095.      上記の続き
096.      上記の続き
097.      上記の続き
098.      上記の続き
099.      上記の続き
100.      上記の続き
101.      上記の続き
102.      上記の続き
103.      上記の続き
104.      上記の続き
105.      上記の続き
106.    明治海軍のボイラーの祖 宮原二郎
107.      上記の続き
108.      上記の続き
109.      上記の続き
110.    ワープロの祖 和文タイプを創った杉本京太
111.      上記の続き
112.      上記の続き
113.      上記の続き
114.      上記の続き
115.      上記の続き
116.    地下足袋を発明して ブヂリストンの祖の一人となった石橋徳次郎
117.      上記の続き
118.      上記の続き
119.      上記の続き
120.    写真植字機を発明して 世界の印刷界に革命をおこした森澤信夫
121.      上記の続き
122.      上記の続き
123.      上記の続き
124.      上記の続き
125.      上記の続き
126.      上記の続き
127.      上記の続き
128.    写植用書体の創造で日本の印刷文字を一新した石井茂吉
129.      上記の続き
130.      上記の続き
131.    レジとカメラの国産化に貢献した間宮精一
132.      上記の続き
133.      上記の続き
134.      上記の続き
135.      上記の続き
136.    曲面印刷の鬼 箱木一郎
137.      上記の続き
138.      上記の続き
139.      上記の続き
140.    その他の立志伝中の発明家たち
        ▽シャープペンシルを発明して企業家になった早川次
141.      上記の続き
142.      上記の続き
143.      上記の続き
144.    ▽地下鉄の父 早川次
145.      上記の続き
146.    ▽「カルピス」を発明した三島海雲
147.      上記の続き
148.      上記の続き
149.    ▽タイガー計算機の生みの親 大本寅治郎
150.      上記の続き
151.    ▽オフセット印刷機の開発者 濱田初次郎
152.      上記の続き
153.      上記の続き
154.    ▽異能の発明家 星一
155.      上記の続き
156.    ▽地中海でも活躍したスキューバの先駆者 大串岩雄
157.    ▽世界のヘリコプター史に残る発明をした大西唯次
158.      上記の続き
159.      上記の続き
160.八・五 その他の立志伝中の発明家たち
        名君であられた昭和天皇
161.      上記の続き
162.    第一回十大発明家
163.      上記の続き
164.    第二回十大発明家
165.      上記の続き
166.      上記の続き
167.      上記の続き
168.      上記の続き
169.      上記の続き
170.    日本特許制度百年記念の十大発明家
171.八・六 明治末から大正期にかけての特許法と実用新案法の内容
        《大正十年特許法》の要点
172.      上記の続き
173.      上記の続き
174.      上記の続き
175.      上記の続き
176.    《大正十年実用新案法》の要点
177.八・七 工業所有権の有事法問題
        スパイ天国と化した日本
178.    軍事上重要な発明の拒絶・制限・収用(甲)
179.      上記の続き
180.    戦時における敵国特許や敵国からの出願に対する措置(乙)
181.      上記の続き
182.    軍事上重要な発明を秘密にする為の措置(丙)
183.    秘密特許の実態と現在の企業の苦心
184.    諸外国における秘密特許の制度
185.      上記の続き
186.      上記の続き
187.      上記の続き
188.    関東大震災への対処と影響
189.八・八 高橋是清の死と高峰讓吉の死 ――過ぎ去った先駆者の時代――
        高橋是清のその後の活躍
190.      上記の続き
191.      上記の続き
192.      上記の続き
193.      上記の続き
194.    高峰讓吉のその後の活躍
195.      上記の続き
196.      上記の続き
197.      上記の続き
198.      上記の続き
199.      上記の続き
200.      上記の続き
201.      上記の続き
202.      上記の続き
203.      上記の続き


トップページ]>[歴史のページ]>[日本の特許史]