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大正〜昭和初期発明家伝73

[承前]

◎MK磁石を発明した磁石の神様 三島??七
    ――第二回日本十大発明家の一人――

 本多光太郎のところで述べたが、磁石の鉄人だった本多の心胆を寒からしめ、世界に名を轟かせたのが、本項で取り上げる三島徳七(図6・10)である。
 前項の三人の磁石の鉄人はみな学費に恵まれない農民の息子だったが、本項の三島??七もまた、農家に生まれて苦学した天才であった。

◇明治二十六年(一八九三年)
 三島??七は、淡路島の現津名郡五色町に、この年の二月二十四日に生まれた。
 貧しい農家の七人兄弟の末っ子だった。
 父親は喜住甚平といって、真面目で一徹な人物だったらしい。
 ??七は家の手伝いをしながら小学校に通い、二宮金次郎のようだと言われたという話もあるし、活発であまり勉強はしなかったという話もある。

◇明治四十年(一九〇七年/十四歳)
 この年、小学校を卒業し、校長や村長は中学進学を勧めたが、金銭的にとても無理であった。
 そこで、担任の先生が世話をしてくれて、坂本左狂という軍人の家の手伝いに雇われ、主人の転勤にしたがって和歌山〜千葉〜水戸と、移り住んだ。
 そして家事手伝いの合間に独学で勉強した。

◇大正二年(一九一三年/二十歳)
 やがて、世話する人があったのであろう、郷里出身で東京で弁護士をしている広岡宇一郎という人物の書生となった。
 そして働きながら勉強して、立教中学の四年編入試験を受けて見事に合格し、大正二年には首席で卒業した。
 そして同年、第一高等学校の理科に入り、大正五年に卒業した。
 小学校を卒業するとすぐに親元を離れて他人の家で働きながら、独学で勉強し、日本一難しい学校を卒業したのである。
 この間の??七の苦学ぶりは、筆舌に尽くしがたいものがあったと言われている。
 現在の小学生には、まったく考えられない苦学ぶりである。
 おそらく現在なら、中学卒業生でも、他人の家で奉公しながら勉学するなど、我慢出来ないであろう。

[この項つづく]

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第八章INDEX

【大正から昭和へ――憤懣と苦難のはじまり――】(この章の別の題)
000.    はじめにー再開に当たって
001.八・一 日米特許戦争の勃発 蓄電池の先駆者・島津源藏の闘い
       『島津製作所』の発祥
002.      上記の続き
003.      上記の続き
004.    独学で蓄電池製造を開始する
005.      上記の続き
006.      上記の続き
007.    クロライド型の成功と日露戦争への大貢献
008.      上記の続き
009.      上記の続き
010.    特許/発展/危機
011.      上記の続き
012.      上記の続き
013.    世界的大発明への道
014.      上記の続き
015.      上記の続き
016.    日米特許戦争の勃発と最終勝利
017.      上記の続き
018.      上記の続き
019.    栄光の十大発明家に選ばれる
020.      上記の続き
021.八・二 電気の時代の先駆者たち
       電気機械の世界的発明家 山本忠興
022.      上記の続き
023.      上記の続き
024.      上記の続き
025.      上記の続き
026.    テレビ野球中継を成功させた川原田政太郎
027.      上記の続き
028.      上記の続き
029.      上記の続き
030.      上記の続き
031.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
032.      上記の続き
033.      上記の続き
034.      上記の続き
035.      上記の続き
036.      上記の続き
037.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
038.      上記の続き
039.      上記の続き
040.      上記の続き
041.      上記の続き
042.      上記の続き
043.    日本電子産業の危機を救った天才少年 安藤博
044.      上記の続き
045.      上記の続き
046.      上記の続き
047.      上記の続き
048.    世界で最初にFAXを実用化した丹羽保次郎
049.      上記の続き
050.      上記の続き
051.      上記の続き
052.      上記の続き
053.      上記の続き
054.      上記の続き
055.      上記の続き
056.    世界の時計を制覇した古賀逸策
057.      上記の続き
058.      上記の続き
059.      上記の続き
060.      上記の続き
061.    電気の時代のその他の先駆者たち
062.      上記の続き
063.      上記の続き
064.      上記の続き
065.八・三 日本のお家芸を築いた磁石の「鉄人」たち
       KS鋼及び新KS鋼の発明者 本多光太郎
066.      上記の続き
067.      上記の続き
068.      上記の続き
069.      上記の続き
070.      上記の続き
071.    本多光太郎が育てた弟子(一)増本量
072.    本多光太郎が育てた弟子(二)山本達治
073.    MK磁石を発明した磁石の神様 三島七
074.      上記の続き
075.      上記の続き
076.      上記の続き
077.      上記の続き
078.      上記の続き
079.      上記の続き
080.      上記の続き
081.    世界を制覇したフェライトの父 武井 武
082.      上記の続き
083.      上記の続き
084.      上記の続き
085.      上記の続き
086.      上記の続き
087.      上記の続き
088.      上記の続き
089.      上記の続き
090.      上記の続き
091.      上記の続き
092.      上記の続き
093.八・四 立志伝中の発明家たち
       独学で蒸気ボイラーを発明した田熊常吉
094.      上記の続き
095.      上記の続き
096.      上記の続き
097.      上記の続き
098.      上記の続き
099.      上記の続き
100.      上記の続き
101.      上記の続き
102.      上記の続き
103.      上記の続き
104.      上記の続き
105.      上記の続き
106.    明治海軍のボイラーの祖 宮原二郎
107.      上記の続き
108.      上記の続き
109.      上記の続き
110.    ワープロの祖 和文タイプを創った杉本京太
111.      上記の続き
112.      上記の続き
113.      上記の続き
114.      上記の続き
115.      上記の続き
116.    地下足袋を発明して ブヂリストンの祖の一人となった石橋徳次郎
117.      上記の続き
118.      上記の続き
119.      上記の続き
120.    写真植字機を発明して 世界の印刷界に革命をおこした森澤信夫
121.      上記の続き
122.      上記の続き
123.      上記の続き
124.      上記の続き
125.      上記の続き
126.      上記の続き
127.      上記の続き
128.    写植用書体の創造で日本の印刷文字を一新した石井茂吉
129.      上記の続き
130.      上記の続き
131.    レジとカメラの国産化に貢献した間宮精一
132.      上記の続き
133.      上記の続き
134.      上記の続き
135.      上記の続き
136.    曲面印刷の鬼 箱木一郎
137.      上記の続き
138.      上記の続き
139.      上記の続き
140.    その他の立志伝中の発明家たち
        ▽シャープペンシルを発明して企業家になった早川次
141.      上記の続き
142.      上記の続き
143.      上記の続き
144.    ▽地下鉄の父 早川次
145.      上記の続き
146.    ▽「カルピス」を発明した三島海雲
147.      上記の続き
148.      上記の続き
149.    ▽タイガー計算機の生みの親 大本寅治郎
150.      上記の続き
151.    ▽オフセット印刷機の開発者 濱田初次郎
152.      上記の続き
153.      上記の続き
154.    ▽異能の発明家 星一
155.      上記の続き
156.    ▽地中海でも活躍したスキューバの先駆者 大串岩雄
157.    ▽世界のヘリコプター史に残る発明をした大西唯次
158.      上記の続き
159.      上記の続き
160.八・五 その他の立志伝中の発明家たち
        名君であられた昭和天皇
161.      上記の続き
162.    第一回十大発明家
163.      上記の続き
164.    第二回十大発明家
165.      上記の続き
166.      上記の続き
167.      上記の続き
168.      上記の続き
169.      上記の続き
170.    日本特許制度百年記念の十大発明家
171.八・六 明治末から大正期にかけての特許法と実用新案法の内容
        《大正十年特許法》の要点
172.      上記の続き
173.      上記の続き
174.      上記の続き
175.      上記の続き
176.    《大正十年実用新案法》の要点
177.八・七 工業所有権の有事法問題
        スパイ天国と化した日本
178.    軍事上重要な発明の拒絶・制限・収用(甲)
179.      上記の続き
180.    戦時における敵国特許や敵国からの出願に対する措置(乙)
181.      上記の続き
182.    軍事上重要な発明を秘密にする為の措置(丙)
183.    秘密特許の実態と現在の企業の苦心
184.    諸外国における秘密特許の制度
185.      上記の続き
186.      上記の続き
187.      上記の続き
188.    関東大震災への対処と影響
189.八・八 高橋是清の死と高峰讓吉の死 ――過ぎ去った先駆者の時代――
        高橋是清のその後の活躍
190.      上記の続き
191.      上記の続き
192.      上記の続き
193.      上記の続き
194.    高峰讓吉のその後の活躍
195.      上記の続き
196.      上記の続き
197.      上記の続き
198.      上記の続き
199.      上記の続き
200.      上記の続き
201.      上記の続き
202.      上記の続き
203.      上記の続き


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