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01.一 皇統「万世一系」の思想――明治憲法の第一条〈一〉
    一・一 「万世一系」という言葉
        伊藤博文たちの猛勉強
02.     『憲法義解』にある解説
03.     「万世一系」の語源
04. 一・二 『神皇正統記』の思想
        『神皇正統記』に見る「万世一系」の思想
05.       上記の続き
06.     「万世一系」と「三種の神器」
07. 一・三 『愚管抄』の思想
        『愚管抄』にある慈圓の見解
        〈天照大神〉のご命令
08.     第一の功績 蘇我入鹿の排除
        第二の功績 光仁天皇の擁立
09.     第三の功績 光孝天皇の擁立
10.二 〈うしはく〉と〈しらす〉の違い――明治憲法の第一条〈二〉
    二・一 二種類の統治〈うしはく〉と〈しらす〉
        明治憲法第一条の「統治」
11.     「国譲り」の物語
12.     二種類の支配があること
        〈うしはく〉の由来
13.     〈しらす〉の由来
14.     当てはめられた漢字
        井上毅の演説から
15.     まとめますと・・・

『明治憲法第一条(万世一系と統治)』05

[承前]

(意訳・日本のはじまりには、インドに似た点もあるようだが、日本では天子の位が高天原の神以来ずっと正しく唯一に継承されていて(すなわち万世一系であって)、これは世界にも類のない事である。インドでも最初は王が民衆のために選ばれてその子孫が継承したが、後の世になると亡ぼされて、力さえあれば誰でも一国の主となった。シナはさらに秩序のない国で、大昔であっても帝王に一つの姓を定めることがなかったし、のちに世が乱れると力で帝王を争った(易姓革命)。だから民間から起こって王位についた者もあるし、辺境の種族が国を奪ったこともあるし、仕えていた臣下が主君を追い払って帝王になったこともある。伏犠氏(シナの伝説時代の最古の帝王とされる)のあと天子の氏姓が変わったことがすでに三十六度もあり、その無秩序は言葉もないほどである。
 しかしながら日本だけは、天地の最初から現在まで、天皇は正しく御位を受け継いでおられる。直系がおられず傍系がお継ぎになっても、また正しい系統に復して、万世一系の皇統を維持してこられた。これは〈天照大神〉の「天壌無窮の詔勅」が明確だからで、日本が他国と異なる理由もまたそこにある。高天原の神々の教えは恐れ多いものだが、その根本を知らないと善悪の区別を知ることができず、世を乱すことになるであろう。そこで、そのような悪弊がおこらぬように、神代から今日まで正しい道理に基づいて皇統が受け継がれてきたわけを述べようと思う。ただし世間がふつうに知っている事は書かない。正しい道理によって受け継がれた皇統の事を記すので、この書を『神皇正統記』と名づける)

 右の文の中で重要な「天壌無窮の詔勅」について、簡単にご説明します。
 大昔、天照大神は高天原におられて、御孫の瓊瓊杵尊を、この国土に降ろされました。
 これを天孫降臨といいますが、瓊瓊杵尊が多くの部下をしたがえて降臨なさるとき、天照大神は、「八坂瓊曲玉」「八咫鏡」「天叢雲剣」という三種の神器をお預けになり、かつ、つぎのように仰せになりました。

(読み下し文)豊葦原の千五百秋の瑞穂國は、これ吾が子孫の王たるべき地なり。よろしく爾皇孫、就いて治むべし。行け。寶祚の隆ならんこと、天壌とともに窮無かるべし。

(意訳・この美しく豊かな国は、私の子孫が治めるべき国である。さあ行きなさい。私の子孫が栄えることは、天地とともに永遠であろう)

 これが天壌無窮(天地とともに永遠であること)の詔勅で、たいへん有名です。

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