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桓武天皇 巻第三十七 巻第三十八 巻第三十九 巻第四十
続日本紀巻第一 起丁酉(697)年八月、盡庚子(700)年十二月
天之眞宗豊祖父天皇(あまのまむねとよおおちのすめらみこと) 文武天皇(もんむてんのう) 第四十二
天之眞宗豊祖父天皇は天渟中原瀛眞人天皇(あめのぬなかはらおきのまひとのすめらみこと=天武天皇)の孫である。 日並知皇子尊(ひなめしのみこのみこと=草壁太子)の第二子である。 日並知皇子尊は宝字(天平宝字)三(759)年に勅が有り 、崇め尊び號を追り、岡の宮で御宇(あめのしたしろしめす)天皇と称す。 母は天命開別天皇(あめみことひらかすわけのすめらみこと=天智天皇)の第四女の平城宮御宇日本根子天津御代豊国成姫天皇 (ならのみやにあめのしたしろしめすやまとねこあまつみしろとよくになりひめのすめらみこと=元明天皇)である。 天皇は天を縦て寛仁で温和であり色を形に表さなかった。広く経史に精通し、射芸も上手であった。 高天原廣野姫天皇(たかまのはらひろのひめのすめらみこと=持統天皇)十一年に立って皇太子となる。
八月一日(甲子)、受禅により即位された。
十七日(庚辰)、詔をして「現御神(あきつみかみ)と大八島国を統治された天皇の大命と詔たもうた大命である。
集まった皇子たち、王たち、臣たち、百官たち天下の公民たちよ聞きなさい。高天原に事が始まり、遠い天皇の先祖の御世から今に至るまでに天皇の御子がお生まれになり、
次々に大八島国を治めようと継がれ、天津神の御子ながらも天に坐す神の委託を奉るままに、
お治めになった天津日嗣高御座(あまつひつぎのたかみくら=天皇位)の業と現御神と大八島国所知倭根子天皇(おおやしまくにしろしめすやまとねこすめらみこと)の授け負わせ賜う貴き、
高き、広き、厚き、大命を受け賜い、かしこんで、この食国天下(おすくにあめのした)を調え賜い平らげ賜い天下の公民を恵み賜い、
撫で賜もうと神ながらの思し召しを詔たまわれた天皇の大命を諸々のものよ聞きなさい」と詔された。
ここで百官等は四方の食国を治め奉れと任命された。
「国々の宰(みこともち)等に至るまで天皇の朝廷が布告した国法を過ちを犯すことなく、明き、浄き、直き、誠の心をもって職務を進めて弛み怠る事無く勤めを完遂し仕え奉れと詔された大命を諸々のものよ聞きなさい」と詔された。
「故にかくの如く聞き悟って、いそしく仕え奉ったものは仕え奉った状況に応じて褒賞し位を上げ治めるであろう。と詔された天皇の大命を諸々のものよ聞きなさい」と詔された。
そして、今年の田租・雑徭並びに庸の半分を免じ、また、今年より始めて三ヵ年大税の利を収めず、高年や老人に恤を加えた。また、親王以下百官の人々に恩賞をそれぞれに応じて与えた。諸国に命じて毎年放生を行わせた。
二十日(癸未)、藤原朝臣宮子娘(ふじわらのあそんみやこいらつめ)を以て夫人とした。紀朝臣竈門娘(きのあそんかまとのいらつめ)、石川朝臣刀子娘(いしかわあそんとじのいらつめ)を妃とした。
二十九日(壬辰)、親王及び五位以上に食封を賜る。各々に応じて差があった。
九月三日(丙申)、京人の大神(おおみわ)の大網造(おおよさみのつくり)百足(ももたり)の家に嘉稲が生えた。近江国が白亀を献じた。丹波国が白鹿を献じた。
九日(壬寅)、勤大壹(ごんだいいち)丸部臣(わにべのおみ)君手に直廣壹(じきこういち)を賜る。壬申の功臣である。
冬十月十九日(壬午)、陸奥の蝦夷が方物(ほうぶつ=その地方の特産物)を貢いだ。
二十八日(辛卯)、新羅の使い一吉飡(いつきつさん)金弼徳、副使・奈麻金任想等が来朝した。
十一月十一日(癸卯)、務廣肆(むこうし)坂本朝臣鹿田(さかもとのあそんしかた)・進大壹(しんだいいち)大倭忌寸五百足(おおやまとのいみきいほたり)を陸路に、務廣肆
・土師宿禰大麻呂(はじのすくねおおまろ)・進廣参(しんこうさん)習宜連諸国(すきのむらじもろくに)を海路に遣わして、新羅の使いを筑紫に迎えさせた。
十二月十八日(庚辰)、越後の蝦狄に物を賜う。各々に応じて差があった。
閏十二月七日(己亥)、播磨、備前、備中、周防、淡路、阿波、讃岐、伊予等の国が飢える。給し之を賜う。また、負税を収めさせなかった。
二十八日(庚申)、正月に往来の拝賀の礼を行うのを禁じた。もし、違反者が有れば、浄御原朝廷(きよみはらのみかど=天武天皇)の制度に依って、之を罰することを決める。ただし、祖兄及び氏の上たる者を拝するのは許す。